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音機は眠っていた。
主を失ったオルゴール。動くことのない鉄の塊。
日の光の当たらない小さな地下室。
ただ静かに眠っていた。
音機は待っていた。自分を迎えに来る次の主を。
孤独な部屋で響くのは心臓の音。
無音であるはずの部屋で唄う心の音。
機械の身体に埋め込まれた時計の音。
針が時を刻む。針が心を刻む。針が記憶を刻む。
それは音機の刻む音。
音機が主と刻んだ音。
音機が主と歩んだ音。
音機が主と憶えた音。
それは主と刻む音。
音機は夢を見た。
主と旅する夢を見た。
自分が生まれて世界を見る夢。
世界を巡って唄う夢。
小さな少女に唄う夢。
音機は夢を見た。
主と旅する夢を見た。
自分が目覚めて世界を見る夢。
世界を巡って救う夢。
小さな少女と唄う夢。
音機は知る。
自分の使命を。自分の運命を。
音機は待つ。
扉の向こうから現れる主を。自分と共に歩む主を。
扉が開く。鉄の身体に指揮棒が触れる。
それは次の夢。音機が世界と共に見る夢。
また、はじまる。
音機 - それから
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